
皆さんが勉強するのは、世間と隔離された温室の中で、ひ弱な花を咲かせるためではなく、近い将来、大木となって社会の暴風雨に負けない“不抜きの根”をしっかりと地中に張るためなのです。それは、さまざまな学科に取り組む、すべての学生の努力の中心でなければなりません。
社会的に成熟している人間は、教育を受ける必要はありません。学生は原則として、その学習しようとする学科においては未成熟者です。
「自分は未成熟者である」と考えることは、すべての学生にとって必要な自覚です。この自覚を持たない人間が学校に入るのは、家から学費をもらって遊ぶ口実を作るためか、いわゆる“資格”を得てとりあえず社会的特権を獲得するためか、いずれにしても最も本質的な意味において入学試験のふるいに落とされるに値する人々です。すべての学生が皆「自分は未成熟者である」という事実を明瞭に把握するならば、学生生活はもっと活気と緊張感のある、純潔で無邪気なものとなるでしょう。
皆さんは、ラ・サール進学予備校を、成熟を望む未成熟者の、無邪気で純潔な、熱中した雰囲気に包まなければなりません。この雰囲気の中に、皆さんは忽忽として勉強する人間とならなければならないのです。